葬儀社の種類

葬儀社の広告、宣伝を見ると、「安心価格、適正価格、わかりやすい料金体系……」と、どこも書いてあることは価格に対することが多く、内容は似たり寄ったりです。

しかし、葬儀業界は家族だけで経営している言わば民宿のような葬儀店社員を数十名抱えている中堅のホテル、旅館のような葬儀社、結婚式場、ホテルも経営している大きな互助会など様々な規模の企業があり、またJA鉄道会社出版社IT企業など他業種、異業種からの参入者もあります。

あらためて、この葬儀社にはどのような種類があるのか、調べてまとめてみました。

数は6000~7000社!?

葬儀業には許認可制度がないため、はっきりとしたことがわかりませんが、全国に6000~7000社あると言われています(※経済産業省の統計資料による)。

葬門葬儀社 いわゆる一般の葬儀屋さん、地域密着型、中小零細企業が多い。 約30~40%
冠婚葬祭互助会 月々の掛け金を葬儀の費用にあてるというシステム。 約40%
JA(農協) 農協が組合員向けに葬祭サービスを提供しています。 約10~15%
その他 生協、鉄道会社、ホテル、霊園・墓石・墓地販売業者、インターネット系葬儀社仲介業者、介護事業者、生花販売業者、仏壇・仏具販売業者、製茶業者など 約10~20%

↑ おおよそこのような分類になりますが、
いま、イオンを筆頭としたインターネット系の仲介業者が業績を伸ばしてきており、専門葬儀社や冠婚葬祭互助会の一部が、その“下請け化”しているという現状があります。

インターネット系の業者は、わかりにくいとされてきた葬儀の料金をシンプルに見せるように工夫をこらし、格安料金を打ち出して参入してきました。

葬儀をとにかく安く済ませたい。
お金を掛けたくないわけではないけれど、ムダなことに費用を使いたくない。
という方々に受け入れられています。

また神聖な宗教儀式である葬儀ですが、金額や費用をあからさまにすることに抵抗がなくなってきているという風潮も後押ししているでしょう。

今後もシェアを伸ばしそうなインターネット系仲介業者です。

それでは下に各分野の葬儀社の特徴をあげておきます、参考にしてください。

葬儀社の種類と特徴

専門葬儀社

近くの商店街にあるような一般的な葬儀社。電話一本で仕事を請け負っている個人業者や、家族だけで経営しているところ、社員を数名~数十名抱え、自社ホールを持っている会社、上場企業など、その大きさは様々ですが、圧倒的に中小零細企業が多いです。
近年はインターネット系の“下請け”をするところも増えました。

互助会や大きな会社組織の葬儀社が登場するまでは、お葬式と言えば、町の小さな葬儀屋さんがほとんどでした(私の住んでいる東京近郊においては)

地域の商店会、町内会、PTAや寺院、病院などと強いつながりを持ち、個人的な縁、コネクションで仕事で受注するところが多いです。

地域に根差した営業をしており、地元の寺院、火葬場、しきたり、ルールに詳しい業者が多い。個人商店も多く、大手の業者のように統一されたマニュアル通りの見積りではなく、金額や内容について融通ゆうづうがきくことが多い。

創業が明治、大正という業者もある。経営者の代が変わり“若返り”していることが多いが、昔ながらの旧い感覚のままの業者もある。その場合、装飾のデザイン、進行等に「新しさ」を求めることは難しい。

冠婚葬祭互助会

毎月一定の掛金(1,000円~5,000円程度)を積み立てておき、それを葬儀の費用にあてるというシステムです。しかし、その積立金だけで葬儀の費用が全てまかなえるとは思わない方がいいでしょう。
「葬儀はしません、火葬だけです」というなら話は別ですが、料理、返礼品、搬送の費用、遺体の保管料などが積み重なり、総額は大きく膨らむのが常です

葬儀だけではなく結婚式も依頼できる。大きな式場、駐車場等の設備が整っていることが多い。介護用品レンタルなど幅広いサービスを展開している。

費用のベースは高め。たくさんの社員や大きなホールを維持するのに経費がかかるので価格を安くするには限界があると思われます。

JA(農業協同組合)

農協、それに生協が会員向けに葬儀のサービスを提供しています。組合員ならば利用しないということは考えづらいのではないでしょうか。

地域により直営で施行するところ、または下請けの代行業者に委託する場合もあり、プラン、価格に地域差があります。

組合員なら利用を検討する価値あり、一般の葬儀社に直接依頼するよりも安価になることがあります。

ひと口にJA、コープといっても地域の独自性、違いがあります。ご自分の加入している組合のプラン、内容を確かめてください。

以下のような2つの形態があるので、ご自分の地域の組合はどちらなのか?調べておくと良いです。

1.直営型

独自にセレモニーホールを建て、組合の葬儀担当職員が葬祭サービスを提供する。(組合員だけではなく一般に貸し出しているところもあります)

2.提携型

地域の提携業者(互助会、一般葬儀社)に委託する。農協や生協の職員が必ず式場、火葬場に出向くとは限りません。提携の業者がすべて取り仕切ることが多いです。

以前、白木の祭壇を飾ることが当たり前だった時代……、
「農協は、祭壇はタダ同然で貸し出して、返礼品で利益を上げている」ということを耳にしたことがあります、最近は会葬者も少なくなり、農協も年々“新しい感覚”を打ち出しているので、昔と同様とはいかないでしょうが、会員なら割安になる可能性はあります。

インターネット系仲介業者

インターネットの普及とともに、自社のサイトで集客だけをして、提携葬儀社に送り込む業者が増えています。
イオン、小さなお葬式、いい葬儀、よりそうのお葬式……などです。
ネット系の業者の多くは「葬儀の価格はわかりづらい」と感じる方のために、

・無駄なものを省き、必要なものだけをセットにしたから安い。
・内容と価格を明瞭に、誰でもすぐにわかるようにした。
などと、とにかく価格のスリム化とわかりやすさに重点を置いた見せ方を工夫しています。

ほとんどがセット価格で、従来の葬儀社のよりも安く設定されていることが多い。また、地元に良い葬儀社がないという場合に便利。

実際に担当する業者により“当たりはずれ”の可能性がある。すべての業者、どの担当者も完璧に同じレベルであるとは考えにくい。

サイトに提示されている内容蕎麦そばにたとえて言うのならば、かけ蕎麦そばのように具も何も乗っていない最低限のものだけが含まれたセット価格です。

そば屋に入ってかけそば一杯だけを頼む人は少なく、多くの人が天ぷらそばにしたり、かつ丼とのセットになったり……、
たいがい業者が火葬料も含めてはいないので、画面に提示されている価格のままで収まることは少ないです。

もちろん、そんなことはお分かりの上で担当者に実際の見積りを依頼する方がほとんどでしょうけど。

最近は私の周りにもインターネット系の業者の下請けをするところが増えてきました。価格の15~30%をマージンとして抜かれるので利益は少ないが、少しでも仕事量を増やしたいと思うのが経営者の常のようです。

ネット系の業者の下請け化

近年は専門葬儀社や互助会がネット系の下請けをすることが増えています。ネット系が伸びてきた要因として以下のようなことが考えられます。

  • 価格をわかりやすく大きく表示している。
  • 必要なものだけを提案し、ムダなものを売りつけてこないという印象を受ける。
  • 伝統的な葬儀屋さんにはない“新しい感覚”もある。
  • 葬儀に必要以上のお金をかけたくないと思う人が多くなった。(お墓や残された家族の生活など、他に重要なことがある)
  • 神聖、宗教的な儀式である葬儀を価格で選ぶことに抵抗がない人が増えている。

↑このようなことがネット系業者支持されている理由だと私は思います。

葬儀社の種類

ネット系の仲介業者は、ふるいタイプの葬儀社が苦手とするインターネットの分野でお客さんを集め、従来の葬儀社や互助会に紹介するというやり方で伸びています。
いままでは低価格化を推し進めてきましたが、今後は安さだけではなく、サービスの質や高級感も打ち出してくるでしょう。

ネット系仲介業者のプラン

ほとんどのネット系仲介業者はこの5種類プランを用意しています。

プラン名 式場 通夜 お坊さん 会食 礼状/返礼品 備考
直葬プラン ×借りない ×ない ×呼ばない ×ない ×ない 火葬場に集合
火葬式プラン ×借りない ×ない ○ある ×ない ×ない 火葬場に集合
一日葬プラン ○借りる
(もしくは自宅)
×ない ○ある ○ある ○ある 式場に集合
(もしくは自宅)
家族葬プラン ○借りる
(もしくは自宅)
○ある ○ある ○ある ○ある 式場に集合
(もしくは自宅)
一般葬プラン ○借りる
(自宅で可能な場合もある)
○ある ○ある ○ある ○ある 式場に集合

格安料金がウリのネット系葬儀社ですが、昨今は各社とも「事前割」「早割」など早く会員登録などをすれば最大で6~7万円安くなるというサービスをすすめており、今後、いっそうお客さんの囲い込みに力を入れてくるでしょう。

登録料や会費がかからず費用が安くなるというのなら、予定がなくとも、まだ葬儀のことを考える年齢ではなくとも、早めに登録しておくという方が増えるでしょう。

それでは、各プランについて詳しく知りたい方は、以下のリンクをクリックしてください。

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