東京の霊柩車

霊柩車 未分類

東礼自動車

東京で霊柩車と言えば東礼自動車のことです。
霊柩車、寝台車を所有している葬儀社もありますし、他にも寝台業務をしている業者はあるのですが、昭和19年設立、都内近郊に21の営業所、霊柩車226両、小型バス58両を保有(ホームページより転載)し、東京では圧倒的なシェア、歴史と伝統を誇っています。

東礼自動車は都内の火葬場のスケジュールを把握しているので、前後との時間調整(出棺を早くしたり、遅くしたり)ができます。葬儀担当者にとっては火葬場でのムダな待ち時間や混乱を避けることができるというメリットがあります。

昨今は「葬儀に費用をかけたくない」という方が増えたので、担当者が料金の安い業者が選ぶこともありますが、やはり組織力とドライバーの質、火葬所との連携などにおいて頭ひとつ抜きん出ていると感じます。

心付け
運転手に心付けを渡すことが長く慣習として行われていて、いまもそれが続いています。業界の暗黙のルールとも言えます。

金額におおよその目安がありますが、葬儀社によって多少の上下はあります。
おおむね¥3,000円が多いですが、霊柩車だけ¥5,000、グレードの高いキャデラックの白木車には¥10,000を渡している葬儀社もあります。

ほとんどの場合、葬儀社が直接、業者に渡しますが、喪主・施主に気を遣う担当者は、わざわざ喪主の目の前で渡したり、後から運転手に礼の言葉を言わせるようにはからっています。

消えた「宮型」

昭和から平成の初めまで霊柩車と言えば「宮型」のことでした。

東礼自動車 白木車 リンカーン

しかし、平成も時代が進み、21世紀を迎える頃になると洋型車(輿が乗っていない)が主流になっていきました。
その頃、テレビのワイドショーで芸能人の葬儀を式場から生で放送することが多かったのですが、私はそれを見て「洋型車が増えてきたから、それが一般人にも浸透しそうだなぁ」と思ったことを記憶しています。

宮型が消えた理由としては、

  • 人々の生活様式が変化し、好みが洋風に変わっていった。
    霊柩車だけではなく、祭壇も白木祭壇から生花祭壇へ、供花も菊主体から洋花へと全体が東洋・和風から西洋風に流れていった。
  • 宮型禁止!の斎場が出現
    新設やリニューアルされた斎場で、宮型の霊柩車禁止、花環も禁止という所が増えた。
  • 「近所に知られたくない」という家庭が増えた
    近所、地域の人々に知られずに葬儀を執り行いたい。目に触れずこっそりと出棺したいという家庭が増えた。
    もしくは、ご近所に見送ってもらったとしても「仰々ぎょうぎょうしくしたくない」と思う人が多くなった。
  • テレビの影響(←これは私、個人の推測ですが)
    かつてテレビのワイドショーでは頻繁に有名人の葬儀の様子を放送していたが、洋型の霊柩車が使われることが増えてきていた。
  • などということが理由だと思います。

霊柩車と寝台車の違い

一般の方々にとってはあまり興味のないこと、知っていても知らなくてもよいようなことですが、業界では霊柩車寝台車という区別があります。

  • 寝台車
    原則として遺体を運ぶ自動車。病院から自宅に搬送するなど棺に納めていない状態の遺体を乗せることができる。
  • 霊柩車
  • 原則として火葬場へ出棺するための自動車。棺に納めていないと乗せることができない構造となっている。寝台車に比べると自動車のグレードが高く、装飾もされていて内装も豪華である。

しかし、最近は式場から棺を寝台車に棺を乗せて出棺ということも多いので(費用をかけなくなってきた)両者、両車?の違いがあいまいになっています。

霊柩車には誰が乗る?
昭和、平成はじめの頃まで、霊柩車の助手席には葬儀社の社長(葬儀社は中小企業が多い)や担当者が乗ることが普通でした。

やがて大手の互助会が台頭してきましたが、彼らは火葬の件数が多いため火葬場に専門の案内係を常駐させています(宰領さいりょうという)。そのため担当者が同乗する必要がなく助手席には喪主を乗せます。

数十年前の葬儀の現場スタッフは男性だけだったのですが、やがて女性(人材派遣会社に依頼することが多い)を司会、進行、案内に用いることが多くなりました。
出棺時、彼女らはバスに乗り込むので、現在では多くの葬儀社で霊柩車の助手席は喪主ということになりました。

‘ネット系’葬儀業者の比較

霊柩車の代金をセット料金に含めている業者、実費をそのまま、また多少マージンを上乗せして請求している所など様々ですが、
そもそも、
■自社で寝台車・霊柩車を所有している業者と
■すべて東礼自動車ような業者に外注する
業者では費用、利益が大きく違ってきます。

自社で所有している寝台車、霊柩車なら多少‘足が出ても’融通がきくでしょうが、外注なら場合によっては‘足が出てしまい’、追加料金を請求するもあるということです。

インターネットの葬儀紹介業者のサイトを見ても、実際に依頼するまでどのような業者が担当するのかはわかりませんがホームページ上にはセット料金に含まれる距離の範囲が記されています。

各社の家族葬で比べてみました。

各社の家族葬プランで比較
業者名イオンのお葬式小さなお葬式よりそうのお葬式終活ねっと
①搬送
死亡した病院
→自宅や保管施設
寝台車
50kmまで
50kmまで各移動につき
50kmまで
50kmまで
②搬送
自宅や保管施設
→葬儀式場
寝台車
50kmまで
50kmまで50kmまで
③出棺
葬儀式場
→火葬場
霊柩車
50kmまで
50kmまで50kmまで
ここが違う出棺時は霊柩車車種の記載なし
画像はエスティマ
移動の回数の記載なし
画像はエスティマ
車種の記載なし

イオンよりそうのお葬式終活ねっと50kmを超えると追加費用が発生すると記してありますが、具体的な料金は記していません。
地域、請け負った葬儀社によって違うので、実際に打ち合わせ、見積り書を提出してもらわなければわかりませんが、タクシーの10倍くらいを想定しておけば良いと思います。

小さなお葬式搬送料金がウェブサイトに出ているので参考になります。

  • 自宅で葬儀をすると②の搬送の必要はなくなります。
  • 同じ施設の中に式場と火葬場があるのなら③で霊柩車は使いません。

    どこで葬儀をするかによって回数が変わるので「よりそうのお葬式」のように行程を明記しないことはひとつの方法かもしれません。

搬送の回数が減ったからといってセット料金から割引をしてはもらえません。
ダメもとで交渉してみる価値はあるかもしれませんけど……。

時代が‘一周’したら宮型の霊柩車にまた人気が出てくるかもしれません、しかしメンテナンスや維持にコストがかかるようなので、いつまであるのかなぁ……、
絶滅してしまい、博物館のようなところでのみ見ることができるなんてことになってしまうかも。東京の霊柩車の話でした。

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