【葬儀マナーの実際】とは?
私は、世に出回っている葬儀のマナーに関する情報は、細かく詳しすぎると思います。
葬儀に参列するならネクタイは黒、サンダルや短パン姿はやめた方がよいです、当たり前のことですが。
しかし、そんな常識的なこと以外に、無ければなくてもよい物、現在は必要のない作法もたくさん記載されています。
このサイトでは、実勢に則して
「これだけは絶対に外せない!ということと、
無ければなくてもなんとかなる物、
省略しても問題のないことを分けて紹介しよう」
そのような観点でまとめています。
まずは、周囲の人に相談しましょう
香典の金額や相場を調べているあなたに、
こんなことを言ってしまっては実も蓋もないのですが、
迷ったら周囲の人に相談しましょう。
親戚、友人、職場の同僚など、一緒に通夜や葬儀に行く、
参列する人と打ち合わせて同額にするのが一番です。
なぜなら?マナー事典やインターネットで「香典の相場」を調べても
おおよその目安になる数字しか出ていないからです。
関東、中部、関西など、それぞれの地方によって金額の相場は違いますし、
もっと言えば、東京の中でも山の手と下町、多摩地区の違いもあります。
それぞれの町内会、地域のコミュニティによって
何となく決まっている金額というものもあるはずです。
人と違うと恥ずかしいと思うから金額の相場を調べているのでしょうから、
当たり前のことですが周囲の人と合わせるためには相談する、打ち合わせるというのが一番です。
私の実感、東京近郊での目安
関東、関西、都市部、農村部、それぞれ地域によって金額は違います。
私は葬儀の仕事に関わっていますが東京、神奈川、千葉、埼玉以外での経験がありません。
中部地方は高めだということを聞いたことはありますが、他の地方のことはよく知りません。
しかし、皆さまのお役に立つように私の実感としての「相場」、
周囲の人の意見も参考にしながら
「大体これくらいの金額をみなさん包んでいるのではないかな……」という
「相場」を表にまとめてみました。
繰り返しますが、地域差というものがあるので、
周囲の人々に相談して合わせてください。
香典金額の目安(親族・一般) | ||
---|---|---|
祖父母 | ■20代:1万円 | ・親に扶養されている、しかも同居しているのなら、親と一緒の世帯となるので、わざわざ個人的に出すことはないと思います。 ・家から出て独立した生活をしている。社会人としての収入がある。結婚して所帯を持っているような場合、出すことが普通でしょう。 |
■30代:1万~3万円 | ||
■40代以上:3万~5万円 | ||
自分の親 | ■20代:3万~10万円 | ・親が葬儀費用を出すのなら、子供として親に対し出すべきです。 ・自分が親の代りに費用を負担するのなら(施主・喪主となる)必要がなくなります。 |
■20代:3万~10万円 | ||
■40代以上5万~10万円 | ||
兄弟姉妹 | ■20代:3万~5万円 | 事後処理、相続などの問題もあります。兄弟間でいろいろと相談して決めてください。 |
■30代:5万円 | ||
■40代以上:5万円 | ||
親しい親戚叔父・叔母 | ■20代:1万円 | 生前に親しい関係であったのなら、ほぼ親と同額を包んだらいかがでしょうか。 |
■30代:1万~2万円 | ||
■40代以上:1万~3万円 | ||
遠い親戚 | 5千円~1万円 | 普段ほとんど付き合いが無く、名前も顔も思い出せないような遠い親戚の場合。 |
親しい友人・同僚 | 2~3万円 | 常に親しく付き合っていた、家族での交流もある親戚同様か、それ以上の関係。 |
友人・知人 | 5千円~1万円 | 特別に親しいわけではないが、葬儀に行かないわけにいかないような関係。 |
ご近所・町内会 | 3千円~5千円 | 町内によって前例、決まりが有ったり、無かったり……、周囲の人に相談してみてください。 |
職場、社内では?
香典金額の目安(職場関係) | ||
---|---|---|
上司 | 5千~1万円 | 「○○部 一同」「○○営業所 一同」または「連名」などで、取りまとめて出すことがよく行われます。同僚と話し合って決めましょう。 |
上司の家族 | 5千円 | |
元上司 | 5千円 | |
同僚・部下 | 5千円 | 自分の上司よりも高額を包まないように、事前に打ち合わせると良いでしょう。 |
同僚・部下の家族 | 3千円~5千円 |
いつ、どこで出すのか?
香典は通夜または翌日の葬儀、告別式会場で受付に出すことが普通です。
しかし、当日、どうしても都合がつかなければ参列する知人に託しましょう。
また、葬儀式の前、葬儀式場に遺体(棺)が運ばれる前に自宅に訪問し、そこで渡す方もいらっしゃいますし、
〒現金書留で送る、葬儀が済んでから自宅に訪問するという方もいます。
どのようにして、出すのか?
最近は「家族葬」葬儀をしない「火葬のみ」の形態が多いので、必ず、絶対とは言えませんが、
葬儀式場には受付が設けられます。
そこに「御会葬者芳名録」という帳面があれば、住所、氏名などを記帳する。
または「ご芳名カード」というカードがあったなら、記入して香典袋と合わせて受付に出します。
(カードに記入するために受付とは別に記帳のためのテーブルが用意されていることが多いです)
受付が無かったら?
小規模な葬儀では受付を設けないことがあり、近年、それも珍しくはありません。
その場合は、葬儀社のスタッフに声をかけてください。
おそらく「カード(もしくは帳面)に記入をしてから香典を直接、遺族に渡してください」
と案内されるはずです。
袱紗ふくさは必要なのか?
結論から言うと包んで持っていかなくても何とかなる、ということです。
もちろん袱紗(ふくさ)に包んで持っていくことが本来の作法なのでしょうが、
受付の係の方は、その人がどんな袱紗に包んできたか、こなかったか、
なんてことを気に留めてはいない。
そう断言しても言い過ぎではないと私は思うからです。
現在ではカードに氏名、住所他を書いてから、
それと重ね合わせて受付に出すことが一般的ですから、なおさらです。
もちろん袱紗に包むことが正式なマナーかもしれませんが、
無くても問題はない、包んでこない人は多いです。
そもそも香典の意味とは?
もともと香典には遺族を経済的に支援するという意味があります。
いまより日本がもっともっと貧しかった頃、
村や部落、長屋や町内の結びつきは強く、助け合って生きていました。
「大切な家族の働き手をなくして、生活が苦しくなるかも知れない」
「葬儀を出すには費用がかかるから」などと心配し、
弔いのある家に米や野菜を持ち寄ったそうです。
私も、ひと昔前、東京の多摩地区で「米を一袋」が、
祭壇や生花と同列に並べられているのを見たことがあります。
一升瓶、ビールを1ケース供えるなんてこともよくありました。
香典の「香」は文字通り線香、抹香などの「香」の意味ですが、
かつては高価で下々の民百姓には手の出ないものでした。
それに山深い農村には商店もなく現金のやり取りも少なかったことでしょう。
現金の香典は明治時代になってから都市部で一般的になったようです。
知っておいてください、3,000円では赤字です。
香典は遺族に対する気持ち、心であり、金額の多寡がすべてではありませんが、
3,000円以下では通夜の料理、酒、香典返し他で収支がマイナスとなり、
遺族にとっては負担となることを知っておいてください。
最近は香典辞退するご家庭が増えています
お金がない家庭でも葬儀をあげられるように、経済的に助けるという意味が香典にはあります。
しかし、日本も豊かになり、香典をもらわなければ葬儀の費用が出せないという家庭はほとんどありません。
最近は「会葬者に負担を掛けたくない」「お返しが面倒だ」「意味がない」「疑問を感じる」という理由で香典を辞退する家庭が増えています。
「直葬」「家族葬」という形式が増えてから珍しくはなくなりました。
私の肌感覚では、この先「香典辞退」が通常になるのではないか……という気がします。
それでも、どうしても香典を渡したいと思ったら……
受付の係の方は
「香典は辞退申し上げます。わざわざ持ってきていただいたのに申し訳ありません、お気持ちは有難く思います……」
と受け取ってはくれないでしょう。
どうしても!渡したいということならば喪主、または家族に直接、手渡ししましょう。
しかし、それでも「どなたからも戴いていないので、すみません……」と
受け取っていただけない場合は無理をしないで引き下げましょう。
あなた以外の全員から受け取っていないということならば、非常識、不作法だと心配することはありません。
まとめ
- 香典の金額は、個人との間柄、付き合いの深さ、自分の年齢、立場などによって決まります。
- 地方、地域によって違いがあり「普通」の基準には幅があります。
- 「恥をかきたくないと思うから周囲に合わせる」という気持ちはどなたも同じです。
自分で調べた結果をもとに、まわりの人と相談し、金額の打ち合わせをするべきです。
いかがでしょうか、答えにならないような答えですが、昨今は亡くなってからすぐに通夜と言うことはなくて数日以上は猶予があるので相談する時間はあると思います。
なお、香典の本来の意義を考えた場合、今後、辞退することが珍しくなくなると思います。
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